パスワードの使い回しをやめる方法。管理ツールの始め方と最初の1週間
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1こんなとき

ミナ
また流出のニュース…。私のパスワード、あちこち同じなんだけど大丈夫かな?
2見るポイント

カギまる
気をつけたいのは“使い回し”。1か所で漏れると、同じパスワードで他のサービスも試されることがあります。
3次の一手

カギまる
全部覚えなくて大丈夫。管理ツールに任せて、大事なものから少しずつ変えましょう。

ミナ
少しずつでいいなら、できそう。
「また個人情報が流出したらしい」というニュースを見て、自分のパスワードが気になった人は多いと思います。パスワードの使い回しの対策は、覚え方を工夫することではなく、覚えなくていい仕組みに任せることです。
先に結論を書きます。
- 気をつけたいのは、同じパスワードを複数のサービスで使い回すことです
- 各サービスのパスワードを、全部覚える必要はありません。パスワード管理ツールに覚えてもらいます。最初から入っている無料のものでも始められます(おすすめのパスワード管理アプリ)
- 流出の知らせが来ていなければ、今日中に全部を変える必要はありません。最初の1週間は、大事な3種類のアカウントから始めれば十分です
- ただし、流出したと知らされたパスワードを、ほかでも使っている場合は、そのアカウントを先に変えてください
この記事では、詳しくない人でも順番に進められるように、理由と手順を説明します。
パスワードの使い回しの危険性:1つの流出が他へ広がる
あるサービスからメールアドレスとパスワードの組み合わせが漏れると、それを手に入れた人が、同じ組み合わせで別のサービスにもログインできないか試すことがあります。
たとえば、あまり使っていない通販サイトのパスワードが漏れたとします。そのパスワードを、メールやネット銀行でも使っていたら、そちらにも入られるおそれが出てきます。漏れたのは1か所でも、被害が広がる可能性があるわけです。
反対に、サービスごとにパスワードが違えば、1か所で漏れても、ほかのサービスに広がりにくくなります。流出のニュースを見たときも、「漏れたそのサービスのパスワードを変える」ことから考えればよくなります。
1つ注意があります。メールのアカウントや、「Google でログイン」「Apple でサインイン」に使っているアカウントが乗っ取られると、パスワードがサービスごとに違っていても、そこから再設定やログインをされることがあります。この記事でメールなどを最初に変えるのは、そのためです。
全部は覚えない。覚えるのは「開くための鍵」だけ
「サービスごとに違うパスワードなんて、覚えられない」と思うのは当然です。人が何十個もの複雑なパスワードを覚えるのは、現実的ではありません。
そこで使うのがパスワード管理ツールです。各サービスのパスワードはツールが覚えてくれるので、人が覚えるのはツールを開くための情報だけになります。専用のツールでは、これを「マスターパスワード」と呼びます。スマホやブラウザの保存機能では、画面ロックや Apple・Google のアカウントがこの役割を担います。
ここで1つ注意があります。「覚えるのは1つ」というのは、全部のサービスを同じパスワードにするという意味ではありません。各サービスのパスワードは、ツールの中でそれぞれ別のものにします。
パスワード管理ツールとは
パスワード管理ツールは、IDとパスワードを保管して、ログイン画面で入力してくれる道具です。多くのツールには、推測されにくいパスワードを自動で作る機能もあります。
実は、スマホやブラウザにも、最初からパスワードの保存機能が入っています。
- iPhone・iPad・Mac:「パスワード」アプリ(iOS 18 などの新しいOS。それより前は「設定」アプリの中にあります)
- Android・Chrome:Google パスワードマネージャー
- Windows の Edge:Edge のパスワード保存機能
これらもパスワード管理ツールの一種です。新しく何かを入れなくても、今ある機能で始められる人も多くいます。
ちょっとした使い方のコツもあります。いつもは自動で入力されるのに、あるページで自動入力が出てこないときは、そのページのアドレスが本物か確かめてください。管理ツールは、保存したときと同じアドレスのページで入力するので、そっくりな偽サイトでは自動入力が出ないことが多いからです。偽サイトに誘う偽メール・偽 SMS への備えは、偽メール・偽SMSの見分け方は覚えなくていい。開かずに済む3つの習慣で説明しています。
エクセルや手帳で管理していても大丈夫?
パスワードを、エクセルのファイルや紙の手帳にまとめている人も多いと思います。使い回しをやめるための一歩としては、手帳でも十分に意味があります。
それぞれ、気をつける点があります。
- 紙の手帳:インターネット経由で盗まれる心配はありません。家の中に保管し、持ち歩かないようにします。ただし、なくしたときや、家族に見られたくない場合には向きません
- エクセルのファイル:パソコンがウイルスに感染したり、ファイルが誤って共有されたりすると、全部のパスワードがまとめて見られてしまいます。使うなら、ファイルにパスワードをかけ、メールやチャットで送らないようにします
どちらも、長くて推測されにくいパスワードを作るのが大変という弱点があります。少しずつパスワード管理ツールに移すと、パスワードの自動作成や自動入力が使えて楽になります。
選び方:今ある機能で足りるかから考える
まずは、今使っているスマホやブラウザの保存機能で足りるかを考えます。確かめるのは次の2つです。
- 使っている端末とブラウザのすべてで使えるか(たとえば iPhone と Windows パソコンを両方使う場合など)
- 家族と共有したいパスワードがあるなら、その相手と共有できるか
Apple や Google の保存機能も、別の会社の端末で使えるようにする方法や、家族との共有機能を用意しています。ただ、使える範囲は製品ごとに違うので、各社の公式の案内で確認してください。
今ある機能でこの2つが満たせないときに、専用のパスワード管理ツールを考えます。
比べるときの観点
| スマホ・ブラウザの保存機能 | 1Password | Bitwarden | |
|---|---|---|---|
| 料金 | 無料 | 有料(無料体験あり) | 無料プランあり(有料プランもあり) |
| 使える端末 | 製品ごとに違う(公式で確認) | 主なスマホ・パソコン | 主なスマホ・パソコン |
| 家族との共有 | 同じ会社のアカウントどうしで共有できる機能あり | 家族向けプランあり | 無料でも限定的に共有でき、有料プランで広がる |
| パスワードの書き出し | 対応(方法は製品ごとに違う) | 対応 | 対応 |
この表の順番は、広告の報酬とは関係ありません。料金や機能は変わることがあるので、使い始める前に各公式サイトで確認してください(2026年10月時点の情報です)。
無料で使えるおすすめのパスワード管理アプリ
まずは最初から入っている無料のものから。合わなければ、専用のアプリを考えます。並びは順不同です。
家族で共有したい・セキュリティソフトとまとめたいなら
ノートン 360 は、ウイルス対策などのセキュリティソフトに、パスワード管理が付いた有料の製品です。セキュリティソフトも一緒に考えている人は、1つの契約にまとめられます。ソフトが必要かどうかはセキュリティソフトは必要?で整理しています。
家族で共有する場合も、マスターパスワードそのものは家族と共有しません。共有したいパスワードだけを、ツールの共有機能で家族に渡します。
始め方:最初の1週間は大事な3種類だけ
ステップ1:ツールを開く鍵を決める
専用のツールを使う場合は、マスターパスワードを決めます。ツールに入れたすべてのパスワードを開く鍵になるので、次の点に気をつけます。
- ほかのどこでも使っていないものにする
- 互いに関係のない単語を4つ以上、意味の通らない並びでつなげて長くすると、覚えやすく推測もされにくくなります。有名な文章や歌詞、名前・誕生日・ペットの名前などは避けてください。ツールが示す条件があれば、それに従います
- 忘れたときのために、紙に書いて家の安全な場所に保管するのは問題ありません。スマホのメモ、メール、LINE、写真には残さないでください(理由と、すでにメモに書いている場合の移し方はパスワードをメモ帳に保存するのは危険?で説明しています。家族がもしものときに困らない残し方はデジタル終活のやり方にまとめています)
スマホやブラウザの保存機能を使う場合は、次の2つを確認します。
- スマホの画面ロックを、短い数字ではなく、桁数の多い番号や英数字にする
- Apple・Google のアカウントのパスワードを、ほかで使っていないものにする
ステップ2:ツール自体の多要素認証と、復旧の準備
ツールに入るための多要素認証を設定します(多要素認証については、あとの見出しで説明します)。
- 専用のツールは、ツールの設定画面で設定します
- スマホやブラウザの保存機能は、Apple・Google のアカウント側で設定します
あわせて、ツールに入れなくなったときの準備をします。ツールによっては、再ログインに必要な情報をまとめた書類や、認証を復旧するためのコード(リカバリーコードなど)が用意されています。何を復旧できるかはツールごとに違うので、公式の案内で確認してください。
これらはツールの外に置きます。印刷して、マスターパスワードと同じように家に保管するのがおすすめです。ツールの中にしか無いと、ツールに入れなくなったときに使えないからです。
ステップ3:大事な3種類のアカウントのパスワードを変える
準備ができたら、次の順番で、公式サイトや公式アプリからパスワードを変更し、ツールに保存します。新しいパスワードは、ツールの自動作成機能で作るのが確実です。サイトが受け付けないときは、そのサイトの文字数や使える文字の案内に合わせて作り直します。
- メール:ほかのサービスの「パスワードを忘れた」の再設定先になっているため、最初に変えます
- お金に関わるもの:ネット銀行、証券、クレジットカード、よく使う通販サイトなど
- スマホのアカウント:Apple アカウント、Google アカウントなど(メールと同じアカウントなら、1で済んでいます)
それぞれの種類で、よく使う主なアカウントからで大丈夫です。その種類のすべてを1週間で終える必要はありません。
変更したら、今のログイン状態はそのまま残して、別のブラウザやプライベートウィンドウで、新しいパスワード(と多要素認証)でログインできるかを確認してください。先にログアウトしてしまうと、保存に失敗していたときに戻れなくなることがあります。
すでに保存してあるパスワードをツールに取り込むだけでは、使い回しは解消しません。新しい別のパスワードに変えるところまでが大切です。
銀行などでは、パスワードの自動入力に対応していなかったり、独自のログイン方法を使っていたりすることがあります。その場合は、各サービスの案内に従ってください。
この3種類が終わったら、残りは使うときに少しずつで大丈夫です。ログインしたついでに、そのサービスのパスワードを変えて保存していけば、自然に置き換わっていきます。
すでに不審なことが起きている場合
「身に覚えのないログイン」や「知らない注文」があるときは、この1週間の手順を待たずに、すぐに次のことをしてください。
- そのサービスの公式アプリや公式サイトからパスワードを変え、多要素認証を付ける
- そのサービスの窓口に連絡する。カードの不正利用が疑われるときは、カード会社にも連絡する
サービスから流出の連絡が来たときの確かめ方は、個人情報流出の連絡が来たら、最初にやることとやらなくていいことにまとめています。
多要素認証もいっしょに
多要素認証は、パスワードに加えて、手元のスマホに届くコードや認証アプリなどでも本人確認をする仕組みです。パスワードが漏れても、それだけではログインされにくくなります。
先ほどの大事な3種類のアカウントと、パスワード管理ツールには、多要素認証を付けておきましょう。
確認の方法には、主に次のようなものがあります。
- SMS(ショートメッセージ)でコードが届く:手軽に始められます
- 認証アプリでコードを表示する:SMS より安全とされています
どちらも、偽のログイン画面にコードを入力してしまうと悪用されることがあります。コードを入力するのは、自分で開いた公式サイトや公式アプリだけにしてください。
設定するときに表示されるバックアップコードは、ステップ2の復旧用の情報と同じように、印刷して家に保管します。スマホをなくしたときに必要になります。
どの方法にするか迷ったら、サービスがすすめている方法で構いません。何も付けていないときより、他人がログインしにくくなります。
パスキーという新しい方法
最近はパスキーに対応するサービスも増えています。スマホやパソコンの中に保管された「鍵」を、顔認証・指紋・画面ロックの番号で開いて本人確認する仕組みです。顔や指紋の情報がサイトに送られるわけではありません。
パスキーは、偽サイトにパスワードやコードを入力させる手口に強いのが特長です。サービスによって、パスワードの代わりに使えることも、追加の確認として使われることもあります。対応しているサービスなら、案内に沿って使ってみる価値があります。
やらなくていいこと
不安になると、あれもこれもやらなければと思いがちです。次のことは、やらなくて大丈夫です。
- 流出の知らせがないのに、今日中に全部のパスワードを変える:大事な3種類から始めれば十分です
- 必要な機能がすでにあるのに、有料のツールを買う:今ある保存機能で足りるなら、それで構いません
- 漏れた疑いがないのに、全部のパスワードを定期的に変える:使い回しをやめ、推測されにくいパスワードにしてあれば、定期的に変える必要はないとする考え方が主流です。米国の標準化機関(NIST)の指針でも、漏れた疑いがない限り定期的な変更を求めないとしています。ただし、銀行などが独自に変更を求めている場合は、その案内に従ってください
よくある不安:「ツール自体が漏れたら?」
「パスワードを1か所に集めるほうが危ないのでは」という不安は、もっともです。
パスワード管理ツールの多くは、保存したパスワードを暗号化(ほかの人には読めない形に変えること)して保管しています。ただ、運営会社がデータを読める仕組みかどうかは、製品や設定によって違います。また、ツールの運営会社が攻撃を受ける可能性もゼロではありません。万が一、暗号化されたデータが盗まれたときに、中身を読まれにくくする大きな支えになるのが、長くて他で使っていないマスターパスワードです。
使い回しを続けると、1か所の流出がほかのサービスに広がるおそれがあります。それと比べると、ツールで「サービスごとに別のパスワード」にしておくほうが、被害の広がりを抑えやすいと考えられています。使っているツールについて気になるニュースを見たときは、そのツールの公式発表を確認し、案内に従ってください。
まとめ
- 気をつけたいのは、パスワードの使い回し
- 各サービスのパスワードは覚えず、ツールに任せる
- まずはスマホやブラウザの保存機能で足りるかを考える
- ツールを開く鍵を決め、多要素認証と復旧の準備をしてから始める
- 最初の1週間は、メール・お金・スマホのアカウントの3種類から
- 流出したと知らされたパスワードを使い回している所は、先に変える
- 流出の知らせがなければ、今日中に全部やらなくて大丈夫

